2024.09.06
【高校長】PTA人権・教育相談研修を実施しました
8月27日(火)、本校のPTAと教員が協働して校内研修を企画し、本校バトン部のコーチをお願いしている北川芽久美氏から『子どもは、天から授かった宝物』という標題でご講演をいただきました。
北川氏は現在、小学生になる2人のお子様の子育てに日々奮闘されています。今年小学校6年生になったご長男には自閉症スペクトラム(ASD)があり、幼いころから他の子どもとは成長速度が異なっていたり、聴覚や触覚に非常に敏感なところがあったりしたそうです。大きな集団の中で他の子どもたちと同じペースで学習するのを苦手に感じることがあり、親として悩むことも多かったとのことでした。子どもと一緒に悩んだり迷ったりしながらこの子への理解を少しずつ深め、家族の協力と療育園や小学校の先生たちからの支えを得ながら、この子が安心できる安全な環境を整えることができた時「この子の幸福感はとても大きくなる」と語る北川氏の穏やかな表情は、子どもへの深い愛情に溢れていました。同時に、穏やかな表情と語り口なればこそ、これまで超えてきた道のりが決して平坦ではなかったことが自ずと感じられ、それらが相まって聞く者に感動を与えずにはおかない、凄みと迫力に満ちた内容でした。
北川氏はこの子を育てる中で、バトン部コーチとして高い競技レベルを追求する指導の姿勢にも変化があったと仰っていました。子どもを産み育てるということは、自分自身も再びこの世に別の生を受け人生を生き直すということに近いのかもしれません。北川氏にとっての子育ては、ご自身の人生そのものについて深く考える機会ともなったのではないかと感じます。北川氏が発達障がいのあるこの子と真正面から向き合ってこられた姿は、発達障がいというひとつの事象を超えて、図らずも「人生の豊かさ」という、より広く大きく普遍的な課題についての一つの回答を私たちに垣間見させてくださいました。様々な出来事を超えて、北川氏が今回の研修の標題を「子どもは、天から授かった宝物」とされたことに、私は大変感銘を受けています。そしてこのことは、深く銘記されなければならないと思っています。
研修にはPTAと教員が参加しましたが、PTAの皆様は子育て奮闘に現在進行中です。私達教員は、子どもを育てることが仕事です。「人生の豊かさとは何か」「人間にとって何が幸せか」といった普遍的な課題との格闘なしに子どもと向き合うことはできません。そういう意味で今回の研修は、参加したすべての皆さんにとって有意義なものとなりました。北川芽久美さん、貴重なお話を有難うございました。