2025.08.08
【SSH】サイエンスツアー in 屋久島 3日目
8月4日からスタートしたサイエンスツアーもついに最終日の3日目を迎えました。この日は、屋久島の西部に位置する「西部林道」の見学がメインです。
3日目は、西部方面に向かう途中で「永田いなか浜」に立ち寄りました。ここはウミガメの産卵地として知られ、自然保護の取り組みが行われている場所です。砂浜を歩きながら、生徒たちはウミガメがこの地を選んで産卵する理由や、地元で行われている保護活動についてガイドの方から説明を受け、自然との関わりについて考える時間となりました。
最終日は天候が不安定で、西部林道に到着した頃には激しい雨に見舞われました。これまでの2日間は天候に恵まれ、晴れの中で活動を行っていたため、「雨具いらんのちゃう?」と、ついカバンに入れずに来てしまった生徒も何人かいたほどでした。とはいえ、雨に濡れた森や、うっすらと霧に包まれた山道の景色は、晴天とはまた違った静けさと趣がありました。屋久島は「1か月に35回雨が降る」と言われるほど雨の多い地域でもあり、生徒たちも「これぞ屋久島って感じやな」「屋久島らしい体験ができたな」と、雨の中での見学を前向きに楽しんでいた様子でした。午後からは再び天気も回復し、雨上がりの澄んだ空気の中で、またひと味違った自然を感じながらのトレッキングを楽しむことができました。
西部林道は、海岸線沿いに広がる原生林の中を通る細い山道で、世界自然遺産エリアにも含まれています。西部林道は標高が比較的低く、温暖で湿潤な気候により、ガジュマルなどの亜熱帯性の植物が多く見られます。一方で、屋久島を代表する屋久杉は標高の高い地域にのみ分布しているため、このエリアには生えていません。 亜熱帯性の照葉樹林が広がるこの地域では、例年ヤクシカやヤクザルが見られることも多く、期待して観察を行いましたが、運悪くヤクザルには出会えませんでした。ですが、2日目のヤクスギランドに行く途中でヤクザルに会えたので、その写真を貼っておきます。
また、一部の生徒は足元のヒルに噛まれるという思わぬ“洗礼”を受ける場面もありましたが、「屋久島にちょっと献血してきた」と笑って話せるほど前向きに受け止めていました。豊かな自然の中でのさまざまな出来事が、きっとこの旅の記憶をさらに印象深いものにしてくれたことと思います。
西部林道での活動を終えた後は、町に戻ってお土産を購入しました。屋久島の特産品やお菓子、屋久杉を使った小物などを見ながら、「家族や友達へのお土産は何がいいやろ」「これいいやん」と楽しそうに選ぶ生徒たちの姿が見られました。その後、屋久島空港へ向かい、鹿児島を経由して19時15分ごろ伊丹空港に無事到着。3日間の行程を全員元気に終えることができました。
今回の屋久島サイエンスツアーでは、生徒たちは自然の中で過ごしながら、ふだんの授業とは少し違った角度から多くのことを学ぶことができました。豊かな森や川、そこで暮らす生きものたちを実際に見たり、自然の音や匂いを感じたりする中で、知識がより身近なものとして感じられたように思います。
屋久島の自然は、それぞれの場所や環境がつながり合いながら成り立っていることを教えてくれました。森の中の水の流れや、苔の存在、野生動物の姿など、一つひとつがゆるやかに関係し合っている様子は、生徒たちにとって新鮮な発見だったようです。また、自然を守ることや、自然と人との関わりについて考える場面もありました。大きなテーマではありますが、自分の生活と自然とのつながりを少し意識するだけでも、日々の見方が変わるかもしれません。大阪に戻ってからも、道ばたなどの草木を見て「この植物はなんだろう」「なんでこの場所に咲いているのだろう」と立ち止まってみたりして、この3日間の屋久島で得た気づきや視点を、日常の中に小さな関心として残ってくれると嬉しく思います。
以上、令和7年度「サイエンスツアーin 屋久島」のご報告でした。
来年度もサイエンスツアーの実施を予定しています。自然や科学に関心のある皆さんの参加を、ぜひお待ちしています。