富田林中学・高等学校
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2024.07.25

グローバル教育・地域連携

【高校長】富高生のそれぞれの夏が始まりました

 明日から夏休みに入る吉書として、7月19日4限に全校集会を行いました。1、2年生は明日から授業はありません。3年生だけは26日(金)まで午前中は授業、早朝と午後には希望者講習と、もう暫くは学校での勉強中心の日が続きます。集会では、富高生全員がこの夏を有意義に過ごしてほしいという思いをこめて、以下の通りお話をしましたので、参考に掲載します。私からの話に続いて部活動表彰とドイツからの留学生の紹介を行いました。本校からもこの夏以降、ドイツやアメリカに留学する生徒がいますので、そのことも披露しました。富高生のそれぞれの夏が始まりました。

 

 皆さん、おはようございます。毎日暑いですが、体調はいかがでしょうか?高校校長の田中です。私の話は高校の校長としてのものですが、中学生の皆さんも数年後の自分の姿を念頭に、自分のこととして聞いてください。今年は年度の初めから、学校生活は新型コロナウィルス感染症が蔓延する以前の活気を取り戻すことができました。例えば6月1日、2日の文化祭は、中庭でのプロローグ祭に続き、3年生のクラス演劇、飲食店を含む中庭企画や各種催し物等、盛り沢山で贅沢な内容となりました。中でも6月2日の夕刻に実施した後夜祭では、文化祭準備委員会の生徒とその場に参加している生徒とが協力し、生徒全員が一体となって楽しい時間を演出してくれていました。さすが富高生と思わせる圧巻の出来映えだったと思います。次に控えている体育祭でも、富高生が躍動する姿を見せてほしいと思っています。皆さん、期待していますよ。

 さて、今年の4月の始業式で、私は皆さんに18世紀の哲学者ヘーゲルが「情熱」を持つことの大切さについて語った有名なフレーズを紹介しました。それは、

「世の中のどんな偉業も情熱なしには成就されなかった。」

というものです。この時「情熱」とは「個人のすべての欲望と力とをその目的に集中させ」ずにはおかない強い関心、つまり強固な意志であるとされています。しかし、世の中に「強固な意志」とうものが素朴に存在しているわけではありません。どうすれば「強固な意志」を持つことができるのか。そのことを皆さんに引き付けて言うならば、この言葉はヘーゲルから皆さんに向けた、例えば次のような内容の問いかけだということです。

「今、あなた達は自分の全身全霊をかけてでも、その手に掴み取りたいと思える程の、情熱を傾けるに足る何物かを持っていますか。そして、そのことのために何か努力していますか。」

「情熱」を持つというのは大切なことです。熱い「情熱」を傾けることなく、お座なりに学校行事や部活動に参加したり、学習活動を続けたりしたとしても、十分な成果を得ることは難しいでしょう。何事にも全力で取り組むからこそ、困難に遭遇した時でもそれを乗り越える力が、どこからか湧いてくる、そういう経験が皆さんにも有るのではないでしょうか。こうした精一杯の活動の先に、人は本当に心から楽しい時間や嬉しい瞬間に出会えるのであり、そうした経験が積み重なって、人は「強固な意志」を手にするのだろうと思います。だからこそ、富高生のモットーは「ぜんぶ全力」なのですね。この言葉には、ヘーゲルの言う「情熱」をもって何かに挑戦するということと、非常に近しいものがあると私は思っています。

 学校は、明日から夏休みに入り、1、2年生は約4週間、3年生は約3週間、授業は有りません。皆さん全員が、自力で生活規律を確立しなければならないこの期間こそ力の見せどころです。皆さんがそれぞれの場所で「ぜんぶ全力」で取り組み、将来、自身のすべての欲望と力とを集中させるに足る目標に出会うための力を蓄えてほしいと思います。

 そのために、1年生の皆さんは、学期中とはまた違った様々な機会を大切にし、自分の可能性を広げるために、何事にも積極的にチャレンジしてください。

 2年生の皆さんは、本校の教育活動の中心的な存在です。特に部活動は、2年生を中心とした新しいメンバーがその屋台骨を支えるのです。何かがうまくいかない時も、グッと堪えて活動を続けられるかどうか、そのことがその後のあなたの道行きを大きく変えていきます。心してください。

 そして3年生。皆さんにとってこの夏は高校生最後の夏です。この夏くらいは「ぜんぶ全力」でこれまで培ってきた力を一点に集中させましょう。第1志望を高く保ち、その実現に向けて、すべての力を傾けることが許されるのは、長い人生の中でもこの時期くらいしかありません。とても幸せで楽しい時間ですよ。時には不安な気持ちに襲われたり、つい安易な志望先変更をしたくなったりすることも有るかもしれませんが、そんな時こそ自分を信じて限界を超えていってほしいと思います。「ぜんぶ全力」の富高生になら必ずできます。屹度うまくいくと、私は信じています。

 それでは皆さん、次は8月21日。夏休みを終えて元気に登校する皆さんと会えるのを楽しみにしています。それまで元気に過ごしていてください。