富田林中学・高等学校
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2024.04.08

行事

【高校長】令和6年度入学式を挙行しました

 令和6年4月5日、大阪府立富田林高等学校の令和六年度入学式を挙行しました。この日は校庭の桜がちょうど満開となり、良い天気にも恵まれ、新入生と保護者にとって、一生の思い出になったことと思います。新入生達は緊張の面持ちの中にも晴れやかな表情を浮かべ、入学後のそれぞれの生活に思いを馳せているようでした。これからの3年間の活躍を祈りつつ、式辞という形で私からの思いを伝えました。

 

令和6年度入学式式辞

 校庭に、春の柔らかな風が吹きわたる爽やかな季節となりました。この佳き日に、大阪府立富田林高等学校第七十九回入学式を挙行できますことは、この上ない喜びです。本日は公私ともにご多用の中、ご来賓として本校同窓会会長 土井修市(どい しゅういち)様を始め、多くの方々のご臨席を賜りました。高い処からではございますが、厚く御礼を申しあげます。

 保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。高校入学の節目に、成長した我が子の姿を改めてご覧になり、お喜びも一入のことと、心よりお祝いを申し上げます。私たち教職員一同は、皆様がお子様に寄せておられる深い思いを真摯に受け止めますとともに、課せられた責任の重さに、今、身の引き締まる思いを致しております。本日以降、お子様の大いなる成長をめざして教育活動に勤しんでまいります。何卒よろしくお願い申し上げます。

 ただ今入学許可宣言をいたしました二百三十四名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。皆さんの気持ちは今、入学の喜びとこれから始まる高校生活への期待とに高揚していることと思います。皆さんは、今日から富田林高等学校の第七十九期生として、新しい生活を始めることになります。本校は、創立百二十年を超える歴史を誇る南河内随一の伝統校です。皆さんには、本校の一員となったことに誇りを持ち、大きく胸を張ってほしいと思います。本校を代表して、皆さんを心より歓迎いたします。

 さて、本校は、これまで各界で活躍する多くの人材を輩出してきました。その歴史における様々な成果は、諸先輩方の弛まぬ挑戦があってこそ可能となったものです。平成29年4月に大阪府立で初めての中高一貫校として富田林中学校を開校した後は、富田林中学校から入学する中進生と他の中学校出身の高進生とが、ここ富田林高校でともに学び、互いに切磋琢磨する中で様々な挑戦を続けてきています。その成果も踏まえ、現在本校ではThink Globally,Act Locally、「地球的視野に立ち、地域や国のことを考え行動し、国際社会に貢献できるグローカル・リーダーの育成」という大きな目標に向かって日々取組みを進めています。この目標は、皆さんが生きるこれからの社会が目まぐるしく変化し、Society5.0とも言われる予測不可能な社会が到来すると言われている中で、皆さん一人ひとりが時代の要請に応えつつ、人生百年と言われる時代を強く生き抜いていくために、どのような目標をもって生きていくべきなのか、そんな正解が一つでない大きな問いに関しての、富田林高校から皆さん一人ひとりに向けたメッセージでもあるのです。

 そこで、皆さんが今日からの本校での活動の中で、グローカル・リーダーへと続くこの目標に挑戦できるよう、今日は皆さんに一つの言葉を贈ります。

「世の中のどんな偉業も情熱なしには成就されなかった」(武市健人訳 岩波文庫)

これは、18世紀のドイツ観念論を代表する哲学者ヘーゲルの言葉とされており、彼が大学で行った講義の内容を後に弟子たちが纏めたものとされる『歴史哲学講義』という著作の中に収録されています。「どんな偉業も情熱なしには成就されな」いということは、私たちは情熱を持って生きていかなければならないということです。しかし、情熱を燃やして生きていくというのは、誰にとっても簡単なことではありません。この著書の中でヘーゲルは情熱という言葉を次のように定義しています。

「個人全体の中に流れている意欲の全脈管をあげて、一つの対象に没頭し、その個人のすべての欲望と力とをその目的に集中させるものであるかぎり、われわれはこのような関心を情熱と呼ぶのである」と。

つまり、情熱とは、「個人のすべての欲望と力とを」集中させるに足る目的ということです。これは言い換えると、将来皆さんが「成りたい自分」「実現したい夢」「就きたい仕事」といったものと同じものだと思います。この目的を手にすることができれば、皆さんは驚くほど強くなります。それは、自分の夢へと続く一筋の道が、日々の具体的な努力目標となって皆さんの前に立ち現れるからです。成りたい自分への強い思いが情熱を生み、その情熱が支えとなって、皆さんは更に日々の学習に打ち込むことができるようになるでしょう。つまり、「成りたい自分」とそれへの「情熱」そして「日々の学習」という3者が自分の中で一つに繋がった時、皆さんは大きく成長することができるのです。どれ一つも欠けてはいけません。もう一度言います。「世の中のどんな偉業も情熱なしには成就されなかった。」皆さん、今日はこの言葉を覚えて帰ってください。

 結びとなりますが、皆さんには、本校でのこれからの3年間の学びを通じて、できるだけ多くの知識や技能を身に付け、それらを基盤に、物事を深く考えることのできる力を養ってほしいと思っています。「ぜんぶ全力」が富田林高校の合言葉です。私たち教職員一同は、皆さんの学びをサポートできるよう全力で皆さんを応援します。皆さんも、全力で応えてください。そして、保護者の皆様に於かれましても、本校の教育に御理解、御協力を賜りますとともに、学校と手を携えつつ、常に暖かくお子様を見守っていただき、その成長をしっかりと支えてくださいますよう、お願い申し上げまして、入学式の式辞といたします。