2024.05.21
【高校長】今年も授業改善に取り組んでいます(1)
5月17日(金)放課後、富田林中・高の教員全員で授業改善に向けた研修会を実施しました。この取組みは、校内における授業改革推進委員会が中心となり、「確かな学力を育成する“授業・評価“サイクルづくり~思考力・判断力・表現力の育成のための教科指導と探究的アプローチの連結~」というテーマのもと、「本質的な問い」を意識した授業を展開することで生徒の探究的な思考を促し、課題の本質をつかみ主体的に解決する力を育成することをねらいとして、ここ数年間にわたって続けてきているものです。具体的な内容は、春の時期に「授業改革WEEKS BASIC」と称して各教員が他の教員の授業を自由に見学し、授業環境や授業規律などを含めた授業づくりについて意見交換を行った後、秋の時期に「授業改革WEEK ADVANCED」として研究授業を行い、学識経験者から指導助言を受けるとともに、最新の知見についてご講演をいただくという形を取っていました。本年度は、この形を踏襲しつつも更なる進化をめざし、本校で行われている各授業が、本校の教育目標であると同時にSSH校(スーパーサイエンスハイスクール)としての取組成果の評価の観点ともなっている「コミュニケーション力」「論理的思考力」「課題発見解決能力」等の育成に資する内容となっているかどうかについて、全教員が強く意識することを確認したうえで実施しました。そこで授業者は、上記3つの内のどの観点を意識して授業を行うのかを予め黒板の隅に記載したうえで授業を進め、見学者はその観点に照らして授業を見学する中で気付いたことや質問したいこと等を記録しておくこととしました。
今日の研修会は、授業者の授業意図と見学者の判断の記録をもとに、上記のテーマとねらいを実現するために各観点に適った形で授業が実施できていたか、またどうすればよりこれらの観点に適った授業になるのかということを巡って議論を交わし、一定の結論を見出すことができました。本校での授業改善の取組みとしては、これまで以上に実効性のある形で実施できたと思います。こうした議論の後、その内容について何人かの教員が発表し全教員で共有しましたが、その中で以下のような興味深い意見が語られていました。
1 日々の授業の中で『生徒の発表→質問→回答(見解)→更問い→回答(見解)→』といったサイクルで知識と思考の掘り下げを行うことが大切だ
2 科学的な知識に基づく仮説と個々人の意見とを正確に見極められるスキルを要請することが肝要だ
3 授業では、知識や技能を身に付けさせる時間とそれをベースに探究的に課題を掘り下げていく時間とを上手く結びつけることが必要だ
新しい学習指導要領では、主体的・対話的で深い学びの実現が求められています。こうした探究的な学びに近づくために、授業改革推進委員会が今回の研修で確認された実践例やそこから抽出できる授業改善に向けたヒント等を教訓化し、全教員で共有することで、今後、先生方はその内容を意識しながら更なる授業改善に取り組んでいくことになります。
言わずもがなですが、探究的な学びとは、生徒どうしの話合い活動を導入するだけで実現するものではなく、各単元で導入される新しい知識や技能の習得の上に立ってこそ実現できるものです。そうした意味では日々の授業の中で、上記1番にある通り知識・技能の習得とそれを踏まえた質問とのサイクルを続けていくことや、2番にある客観的な事実と個人的な意見とを峻別することを意識させることは必須の要因です。その積み重ねの上に立ち、秋の研究授業では3番にある探究的な課題への挑戦を、各単元や教科の枠組みさえ超えた学際的な内容で掘り下げていくような形で行うことができれば、SSH校としての本校の取組みが授業改善ともリンクし、すべての生徒と教員にとって意味のあるものへと変貌していくのではないか思っています。
今後の先生方の健闘に期待しています。