富田林中学・高等学校
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2023.06.26

その他

【高校長】ただいま考査中です

 本校は全日制普通科の高校ですが、前期・後期制を敷いているため、定期考査は年間4回です。考査の時期も定期考査年間5回の高校とは微妙に異なり、現在行われている前期中間考査が今年度初めての定期考査です。多くの高校に比べ、1か月程遅い実施だと思います。生徒たちは皆、真剣に考査問題に取り組んでいます。特に1年生は高校での初めての考査ということもあってか、また前期の中間考査と9月末に実施予定の前期期末考査の成績を基に、2年生以降のコース分けが決まってくることもあってか、一層気合が入っているように感じられます。「ぜんぶ全力」の富高生らしく、全員、定期考査にも前向きに取り組んでほしいと思います。 定期考査を年間4回の実施とすることの利点としては、少なくとも以下の2点を挙げることができると思います。

1 定期考査の回数が少なくなる分、授業時間数を多く確保できる。

2 定期考査終了日から夏休みや冬休みの開始日までの間に約3週間の授業日が確保できるため、この時期にも纏まった内容の授業を行うことができる。

 定期考査の直前に集中的にテスト勉強することは悪いことではありませんが、そうした勉強で身につくのは所詮、短期的な記憶に過ぎません。この短期的な記憶は放置すれば短時間で失われます。定期考査時に獲得した短期的な記憶を、大学入試も含めた様々な場面で自在に活用できる長期的な記憶に替えていくためには、獲得された短期的な記憶を生徒が忘れてしまう前にしっかりと復習させる機会を設定することが必要です。それには、例えば、「授業の中で習得した知識や技能を、フルに活用して思考、判断、表現することで、初めて適正な解を導き出すことができるような、良質なパフォーマンス課題に取り組ませる」ことなどが想定できます。こうしたパフォーマンス課題により、生徒の思考力、判断力、表現力が鍛えられるだけでなく、単元を通じて習得された知識や技能がより深く、より確実に定着していきます。これが主体的・対話的で深い学び、所謂アクティブラーニングにつながる道だと思います。

 ただ、定期考査後に課題を与えて調べ学習や生徒同士の話し合いを行えばアクティブラーニングが可能になるかといえば、必ずしもそうではありません。調べ学習の際には、例えば何を主張する目的で何について調べるのかといったハッキリとした目当てが生徒の中になければなりません。また、生徒が自分達の意見をぶつけ合う際の前提として、単元で学習した新たな知識や技能が踏まえられるよう、教員がしっかりと生徒の議論を見守ることが必要です。良質なパフォーマンス課題が、教員による良質な見守りのもとで行われることにより「一人ひとりの生徒の中に新しい知識や技能の定着を強烈に促し、同時に新たな課題を発見してその解決策を見出していける力を育成できる」授業が期待できるようになります。今こそ学校には、年間を通じた授業計画の大胆な見直し、例えば、教科書を読めば理解できるような内容を教室で説明することは最小限に抑えるといった、前例にとらわれない大胆な「カリキュラムマネジメント」が求められていると思います。